(公財)浜松国際交流協会(HICE)主催の「地域日本語教師養成講座」が始まります。専門家としての「地域日本語教師」の重要性は高まっていますが、まだまだシステムとして確立していません。「どういう力が求められるのか」について時間をかけて議論しながら、カリキュラムを作り上げていきました。
その地域の特性を理解し、ボランティアの方と対話しながら、「求められる日本語力が身につき、居場所の役割も果たすことができる日本語教室」は、喫緊の課題です。これからスタートする養成講座で、受講者・講師・スタッフ、さらには一般市民の方々と、多様な対話が積み重ねられていくことを願っています。
カリキュラム作成にあたっては、以下の文化庁委託事業報告書を参考にしました。
平成22年度文化庁委託 「生活日本語の指導力の評価に関する調査研究」報告書
(社団法人日本語教育学会)
※社団法人日本語教育学会は、2013年4月に「公益社団法人」に移行しました。
特に、「第Ⅳ章 日本語指導者の指導力に関する評価枠の作成」「第2節 地域日本語教育・支援に関わる人々の役割と求められる資質・能力」(p.129-135)における資質・能力の分類を参考にしました。
A 日本語教育に関する知識・能力
B 日本語教育に関する実践能力
C 地域社会を理解し、生きる力
D 企画立案能力
E 人とつながりネットワークを構築する力
F 対人関係を築く力
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さらに、上記の報告書で記された資質・能力を、浜松の現場においてどう考えていけばよいかについて論述した以下の論文も参考にしました。
松葉・河口・松本(2013)「在住外国人に対する社会型日本語教育における一考察 ~浜松市外国人学習支援センターの取組~」
『浜松学院大学論集 第9号』(p.157-175)
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こうした先行研究を踏まえ、開発会議での話し合いを経て、①各講義を通して「C」の力がつく内容とする、②「C」「E」「F」に関する力を基盤とした上で「B」が養えるような内容にすることを基本方針として決めました。
なお、9月から2月までの長期間にわたる養成講座ですが、前半10回は、一般の方にもご参加いただけるよう、公開講座としました。詳しくは、パンフレットをご覧ください。ここには、簡単に記します。
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【連続公開講座】 全10回 (1日2コマ実施しますので、全5日間です)
1. 地域理解(浜松市の現状) HICE
2. 地域理解(浜松市で行われている取組)
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3. 異文化コミュニケーション(寄り添う力) 原沢伊都夫
4. 異文化コミュニケーション(つながる力)
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5. 世界の移民統合政策 山脇啓造
6. 浜松市の多文化共生施策 山脇啓造 & 石塚良明
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7. 言語政策と地域日本語教育 河原俊昭
8. やさしい日本語から多文化共生を考える 水野義道
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9. ひょうたん島問題から学ぶ多文化共生のジレンマ 藤原孝章
10.ひょうたん島問題から学ぶ多文化共生のジレンマ
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対話力や自己教育力、浜松版日本語コミュニケーション能力評価システム(HAJACシステム)について学ぶほか、グループワークやプロジェクトワーク等の実践活動を通じて、地域で日本語教育を行うために必要な力を養います。いわゆる座学ではなく、クリティカルに物事を捉え、主体的に行動し、ともに振り返る・・・といった形で学んでいきます。
講師は以下のとおりです。
◆坂本勝信
◆田尻悟郎
◆イシカワ エウニセ アケミ
◆松本三千代
◆HAJACメンバー
◆HICEスタッフ
◆嶋田和子
(私は、「発話を引き出す質問力を養う」「対話する力・響き合う力を養う」(BEF)
を担当します。
さらに、「多様な現場を知る」(BC)をテーマに、グループで浜松の地域日本語教育
現場に入って頂き、最後に全体で「振り返り授業」を実施します。)
チラシ➡ 文化庁_地域日本語教師養成講座
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